ファンド、株取引、投資信託投信などの証券取引の被害

証券は昔は、現物株、信用、国債、社債などの取引が一般的でしたが、現在では、投資信託の商品も多くなり、仕組み債のような一般の人にはリスクも理解できないような商品が多くなっています。そのような商品を一番信用している銀行でさえ、販売代行するような時代になっています。

売る側もよく理解しないで「元本保証」を匂わせて売る、購入する側は銀行が勧めるのだから安心だとばかり購入する、多くのリスクをとるのを好まない人でさえ被害に遭います。

そこで、主なる被害の現状を理解していただきたいと思います。

株取引

過当取引

従来から最も一般的な証券不法行為は過当取引であった。

過当取引とは証券マンが手数料稼ぎを目的として顧客の資金や投資目的に照らして頻度または数量において過当・過大な取引を勧誘することを言う。

ネット取引が活発となり、証券外務員による過当取引は大きく減少したが、最近では、銀行が預金者に投資信託を勧誘する際に、過当な購入の勧誘が見られるようになった。過当取引は頻度または数量が過当であることであるから、頻度が少なくても購入額が過大であれば過当取引である。

もともと、銀行が証券業務を行なうことは禁じられていた。

これはアメリカの1929年の大暴落の要因の一つが、銀行の証券取引に対する過剰融資にあったとの反省から預金者保護のため両者を分離したのである。

ところが現在の日本でその懸念が発生しているのである。

膨大な額の預金が投資信託の形で証券化された状態で相場が100年に1回の暴落に見舞われたらどういう事態が発生するかは自ずから明らかであろう。

裁判所が過当取引の違法性を認めるまでには長い年月を要したが、平成9年に初めて大阪地裁が違法性を認め、同10年東京高等裁判所が認めたことで、その違法性が確立した。証券外務員による株式や投資信託の過当取引の例は全国証券問題研究会のホームページおける判例データベースで見ることができる(以下、判例データベースと略す)。

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無断売買

無断売買

無断売買とは証券外務員が顧客に事前の承諾を得ずして、顧客の口座で取引を行うことを言う。

無断売買については、平成4年に最高裁判決が特異な判決を下している。

無断売買は顧客に無断で行われたのであるから、顧客に対して効果が生じることがなく、不法行為を構成しないとしたのである。

証券業界では無断売買は証券外務員が行なってはならない禁止行為としているが、最高裁によれば不法行為ではないとされたのである。

もっとも、不法行為ではないとしても寄託物返還請求権を行使することで救済されるという意味では、投資家側に有利な判決ということができる。しかし、無断で買付や売却されることにより、投資家は自己の財産権を喪失したのであるから、それ自体を不法行為と考えるのが自然であろう。

無断売買で注意しなければならないのは追認である。無断売買をされた場合には、それに気づいた場合にすぐにクレームをつけなければならず、これを怠ると追認されたものとされる可能性が高いので注意が必要である。

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詐欺的勧誘

詐欺的勧誘

詐欺的勧誘とは虚偽または誤解をもたらす情報を提供して顧客の投資判断を誤らせる場合である。例えば、株価が仕手戦によって形成されたものであり、仕手グループが売り抜けを図れば直ちに暴落することが予想された時期に、そのことを告げずして買付を勧誘した場合(平成6年大阪高裁)。

外務員が投資家に対し、良い情報がきた、実は、これは内部情報です、

絶対に、他の人には言わないで下さい、店頭株の○○という会社は○○証券の完全な子会社です、今、株価は2万円くらいですが、内部では確実に6万円になると見ています、どんなに悪くてもすぐに4万円になるのは確実です、思い切って買いましょう等と述べて勧誘した場合(平成9年東京高裁)。

詐欺的勧誘の中で特に多いのが価格が上昇するとの断定的判断の提供した場合である。その具体的な例については判例データベースを参照されたい。

また、損失補填や利回り保証等も詐欺的勧誘の一種である。

以上のような証券不法行為は、ネット取引に時代になっても証券外務員による勧誘がなくなるわけではなく、また、証券仲介業者による勧誘も行なわれるので、減少はするが、全くなくなるということはないであろう。

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発行会社による虚偽または誤解をもたらす情報の開示

ライブドアー事件のような粉飾決算に関する虚偽情報の公表は昔からあったが、今後もなくならないであろう。最近の新興市場に上場されている会社の情報開示には問題が多い。

情報の開示

金融商品取引法で(同法21条の2)、会社の業績に関する虚偽の情報が有価証券報告書に記載されている場合には投資家が発行会社に対して賠償請求できることや損害額の推定規定が設けられたことで投資家の救済は前進した。しかし、有価証券報告書に記載されない株価に影響を与える情報も多い。その場合、会社の虚偽または誤解を招く発表によって、投資家が被った損害の回復には大きな困難が残る。その例として、例えば、A会社がB会社と合併交渉を行なっていたところ、その噂が新聞に出たためB社の株価が出来高を伴って動意づいた。

投資家が上場会社に電話で何か材料があるのかと問い合わせたところ、何も無いと答えた。また会社は新聞に株価の動きや異常な出来高について、その材料を何も知らない、合併交渉も行なっていないとの発表を行なった。

ところが、それから3ケ月後、A社がB社を買収するとの発表が行なわれ、株価が暴騰した。合併交渉が行なわれていないというB社の発表を信用して安価で売却した投資家がB社を訴えた。アメリカで実際にあった事件である。問題はこの種の事件の場合、会社の重要な事実の不開示と原告の損害の因果関係をどう立証するかということである。すなわち、合併交渉がないという情報を利用して売却したということをいかにして立証するかである。この問題に対して、連邦最高裁は公開された市場ではあらゆる情報が株価に織り込まれるから株価を信用したことが情報を信用したことになるとした。

会社経営者による不実表示によって株価は影響を受け、低い価格にあったのであって、価格が低いということは合併交渉が行なわれていないという前提の株価であるから、この株価を信用したということは合併交渉が存在しないという情報を信用したと推定されるというものである(Basic v. Levinson )。

我国においても、この理論は通用するであろう。

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インサイダー取引

インサイダー

発行会社自体、またはその取締役が重要な情報を秘匿して自社株を取引した場合にはインサイダー取引の問題となる。

インサイダー取引とは、例えば製薬会社やその取締役が自社の製品に重大な副作用があることが発覚した場合に、その情報を公表する前に、会社またはその取締役が事前に自社株を売り逃げたり、あるいは積極的に空売りをすることを言う。何も知らずに、その株式を買った者は大きな損害を被むる。

我国でインサイダーの民事責任が問われた裁判としては日本商事事件がある。この事件は抗ウイルス剤「ソリブジン」による副作用死情報の公開直前に日本商事株式を購入した大阪市内の男性が同社取締役らを訴えたものである。

この場合、インサイダーが売却した証券を購入した投資家が損害賠償を求め得ることは明らかである。しかし、たまたま、そのことが特定できた投資家のみが救済されるのはルーレットゲームのようなもので合理性がない。かと言って、その悪材料を知らずに買った投資家全員ということになると、インサイダーは自己の得た利益をはるかに超える莫大な賠償をしなければならない。株価の下落が悪材料の公表によるもので、インサイダーの売りのためではないことから、これも合理性がない。

この問題もアメリカの裁判所で激しく議論され、問題点が明らかとなった結果、レーガン大統領の時に判例法をもとに民事責任が明定された(米国証券取引所法20A条)。インサイダーが証券を売り、または買ったと同時期に同じ種類の証券を買い、または売った投資家はインサイダーに損害賠償を請求できるとされ、必ずしもインサイダーが売ったものを買ったという対向関係は必要でない。

このような立法がない我国では、インサイダーと対向した投資家のみに限定されよう。最近は証券取引等監視委員会がインサイダー取引を取締るようになっているから、刑事で起訴された場合にはその記録を民事裁判で利用できる。日本商事事件では、当時の社長が原告に損害額全額を支払うことで和解が成立した(平成9年大阪地裁)。

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相場操縦

相場操縦とは、要するに人為的に相場を動かすことである。

証券取引法の時代から民事責任を定めた規定があるが、ほとんど使われていない。これを私人が立証することはほとんど不可能である。ところが、インサイダー取引と同様に最近、証券取引等監視委員会が相場操縦を立件するようになり、刑事事件として起訴された場合には、その記録を利用することにより相場操縦者に対して民法709条により、民事責任を追及できる道が開かれた。

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判例データベース

判例データベース

判例データベースは全国証券問題研究会が昭和38年からの投資家勝訴の判例であり、その判例の要旨を集めたもので、相当な数が蓄積されている。重要な判例には解説もつけられている。検索機能を利用して、各種の事例を調査することができ、大変重宝なものとなっている。一般投資家の方も大いに活用されたい。

証券判例データベースはこちらから!

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被害に遭ったのではないかとお悩みの方は

証券取引によって損失を被ってしまった、等とお悩みの方は、遠慮なく当研究会までご相談下さい。ご相談には「被害の相談」ページをご覧ください。

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